第5回 グローバル・ピース Part 2
“ユース・アセンブリー@UN ”

年に一度のユースセミナーがやってきました。これは、フレンドシップ・アンバサダーズ・ファンデーション(1973 年設立されたクロス・カルチャー専門の非営利団体。これまでに多くの若者を海外に訪問させ、国際交流を図る手伝いをしてきました)が国連本部で行っているセミナー。ユース・セミナーですので、全米や海外から多くの若者が集います。ユース・・・とは言いがたい大人達も参加していますが、皆さんNGOやNPO の関係者だったり、これから関係者になろう・・と思っている人がほとんどです。そしてセミナー中、世界中を平和にするためには、どうすればよいだろうと考えます。まずは海外の現状を知り、各NGOやNPOが現在どのような活動を行っているか、また今後どのような活動をしようとしているかなどを、わかりやすく説明します。
このセミナーは、3日間にわたって行われます。朝9時半から午後6時まで、お昼に1時間の休憩があるだけで、ほとんど休みなく続きます。学生生活から随分と遠ざかった社会人にとって、ずっと座って人の話を聞いているのは結構ハードです。が、会期中、書記長をやっているエレインさんや主催団体の催行責任者パトリックさん(写真右:左からエレイン、ジャクソン氏、ミルドレット・クランプ女史。クランプさんは黒人女性で初めて議員になった方)などは、朝食(朝8時)の交流会から夜のイベントまで毎日しっかり出席していたわけです。頭が下がります・・。こういうとセミナーが大変そうに見えますが、お堅い話や悲しい話ばかりを、しかめっ面して聞いているセミナーではありません。なんたって、ゲスト・スピーカーは、大学・NGO・政界で活躍している一流人ばかり。とても贅沢なセミナーなのです。環境問題、食料問題、医療問題、人権問題など、頭が痛くなる大きな難題ばかりの内容なのですが、ゲスト・スピーカーの皆さんが素晴らしく、眠い目をこすりながらも聞く価値は大いにあるのです。スピーカー全員をご紹介したいところですが、50名近くいる方々を全員紹介するのは、紙面上無理・・。ですから、スピーカーの中でもとりわけ私がどうしても!という方4 名をご紹介したいと思います。
まずは、ハワイ・コミュニティ・カレッジ(マウイ)で教鞭をとっておられるジョシュア・クーパーさん(写真左、Honolulu Star Bulletin 新聞より)。環境問題に取り組んでおられます。ゲストスピーカーがスーツ姿で参加する中、金髪・ロン毛・アロハシャツ・・とくれば、否が応でも目立ちます。格好がラフなら話し方もラフ。「僕は、人権問題の非営利団体もやっているんだ。環境問題の話をあちこちでしているのに、なぜこれが人権問題と関係あるんだと疑問に思うだろ?自分達のことばかり考えて、他の人の生活環境を悪くする事をヨシとしてきたことは、大きな人権問題につながることだと思うんだよ。先進国が、自分達の欲のために他国の環境を壊していった。その結果、空気や水が汚くなったり、おかしな病気が始まったりして、他国に迷惑をかけてきたんだ。金と権力でどんどんと環境を壊し、今頃になって“地球が危ない!”などと大騒ぎする。自分達に影響が及ぶとわかった途端、急に態度を一変、今度は“みんなで地球を守りましょう”ときたもんだ。笑っちゃうだろ?アメリカみたいな先進国の人間が悪いのさ。だから、僕は“今の環境問題は、人権問題と大きく関わりがある”と、強く主張して回っているわけ。でも、今からでも遅くはないんだ。君達にできことは、たくさんあるよ!」ハワイ大学ではPolitical Science Clubも運営しておられます。きっと、キャンパスでも人気者でしょうね。
次にバーナード・アマデイ博士。Engineer Without Borders-USA(国境なきエンジニア)の創立者であり、コロラド大学で教鞭をとっておられます。彼は、昨年のユース・セミナーで一番人気だったゲスト・スピーカーでした。彼は、情熱・熱意・誠意・行動力・統率力など、リーダーとしての素養が全て備わった人だと思います。彼は2000年に水道もない、電気もない生活をしているアフリカの集落を訪れる機会を持ちました。現地の人間とともに水道工事を開始したのがきっかけで「こういった集落にエンジニアを派遣したい」と思い始めたのだそうです。彼の団体は、後進国へエンジニアを出向させ、簡易水道の設置をすること。アフリカには、水を汲むのに約5キロも歩かなければいけない地域が、まだまだたくさんあるのだそうです。そして道中何が起こるかわからない危険がいっぱいの中、子供達は毎日水汲みの仕事をさせられます。彼が他のNGOと違うのは、現地の人に「教育」をして帰ってくること。多くのNGOは、大きな資金を使い、現地で施設を作って帰ってしまいます。これでは、ありがた迷惑なケースも起きるそうです。新たに作りたいとき、壊れた時、またNGOを呼ばなければならないという問題があるのです。せっかく作ってもらっても、使いこなせなくて、結局使っていないという集落もたくさんあるそうです。彼の考案した簡易水道は、大規模な工事を必要とせず、現地の人にも取り扱いが簡単。ですから、きちんと現地で教育してくれば、NGOのエンジニアが帰ってしまった後も、自分達で補修したりすることも、更に規模を大きくすることも可能なのだそうです。コストも安いので、今までの水道工事と同じ予算がとれれば、もっともっとたくさんの集落を訪れ、水道を設置してあげることができます。「人々の笑顔がみたいから、私は自分の時間を彼らに費やしている。どんな人間にも時間だけは平等に与えられているはず。時間をどのように使うかは、君達次第だ。」彼のスピーチの後は、いつもスタンディング・オベーション。拍手はしばらく鳴り止みませんでした。
プログラムにない飛び入り参加のスピーカーも毎年数名います。その中でも今年一番の目玉はジェシー・ジャクソン。1941 年生まれ。牧師であり、黒人市民運動のリーダーでもあり、アフリカ系アメリカ人の中では「マーティン・ルーサー・キングを超えるリーダー」と称されています。1984年民主党の党首にノミネート。最近は、大統領候補オバマ氏の悪口を言って、マスコミに騒がれたりもしました。当然、セミナー会場に現れると、アメリカ人は大きな歓声を上げて彼の登場を喜びます。私も住まいのあるハーレムで「ジェシー・ジャクソンに会ったよ」と言ったら「すご〜い!いいな〜」と、皆にうらやましがられました。こんなことなら、一緒に写真を撮っておくべきでした・・。彼の話の中で一番面白かったのは、学生からこんな質問が出たとき。「2015年までに、このセミナーでは世の中を変えるんだとスローガンを上げています。世界が平和になるために、何が最も重要だと思われますか?」との質問に「まずは、アメリカ大統領が変わることだな。でも、これはまもなく解決されるから・・(笑)」これには、会場が沸きました。会場全員で拍手されるほど、人気のないアメリカ大統領・・・。なんで大統領になっちゃったんだろう・・・あらためて大統領選のやり方に「?」が浮かびます。ジャクソン氏のように、アメリカのリーダーの一人になりたいと思っている若者が会場にたくさんいたことでしょう。彼らにとって、ジャクソン氏の飛び入り参加は「嬉しいサプライズ」だったに違いありません。
そして最後に、昨年も最終日にゲストスピーカーとして登場したアラン・ガンディー博士。世界的に有名な非暴力運動の「ガンジー」は、彼のおじいさん。彼は、5番目のお孫さんだそうです。ガンディー博士と奥様は、南アフリカでガンジーの唱えた「非暴力による運動」を広めています。「武器を持って戦うこと=勝利に結びつく方法」ではないと300以上の集落でガンジーの考え方を広め、既に50万人の人々に影響を及ぼしたと言われています。「戦争は、意味のないこと」。孫の代にまで(時代が変わっても)ガンジーの考え方がそのまま受けつがれているとは・・・ガンジーの影響力を再確認してしまいました。彼の話の中で一番面白かったのは、おじいちゃんとのエピソード。ガンジーおじいちゃんは、とても子供達に厳しかったそうです。「勉強に使っていた鉛筆が短くなってしまって、もう書けない状態になったんです。もう使えないや・・・と思って、庭にポイッと投げたんです。そのことを知ったおじいちゃんが、ちょっと来なさい・・と私を呼びました。そして私にその捨てた鉛筆を拾ってきなさいと言いました。外は、真っ暗で庭に投げた小さな鉛筆を探すことなどできない・・と私は、おじいちゃんに言いました。心の中で、使えない鉛筆を捨てて何が悪いんだ?とも思っていました。しかし、おじいちゃんは私に懐中電灯を持たせ、拾って私のところへ持ってきなさい・・と言うのです。私は諦めて、何時間もかけて鉛筆を探しました。やっと見つけて持っていくと、おじいちゃんはこういいました。“小さな鉛筆ひとつで何でこんなこと・・・とおまえは心の中で思っているかもしれない。しかし、こういう些細な行為が人間の驕りやエゴにつながるのだ。ゴミを平気で庭に捨てるという行為は、私達を生かしてくれている地球に対して、何の感謝も尊敬もないということにつながると思わないか?環境や人や物、身の回りのすべてに感謝や尊敬の念を持つ事を決して忘れてはならないよ”」。NYの街中は、大きなゴミ箱がたくさん置いてあります。しかし、そのゴミ箱にすらゴミを投げ入れず、道端にポイッとゴミを捨てるマナーの悪い住民がたくさんいます。ガンジーさんが、これを見たら・・・・みんなが街をきれいにするまで、戦っていたかもしれません。
このセミナーの最大のお楽しみは、ネット・ワーキング。同じ考えを持った人たちと交流を持つ事ができることです。(写真左:セミナーのメイン会場、国連本部内の会議場)主催者も互いが交流できるように朝食や夕食は、一緒にとります。今は離れていてもインターネットでいくらでもコミュニケーションがとれますから、若い人たちにとっては、グローバルに友人を作る良い機会でしょうね。また、ハードなセミナー・スケジュールの中に、必ずサプライズでエンターテイメントを入れてくれることも、楽しみのひとつ。来年は私も協力して、日本のアーティストを参加させたいと思っています。
セミナーは終了すると毎年「誓い」を立てなければいけません。「セミナーを今後どう生かすか・・・」その誓いを実行に移す自信がある人は終了証書(右写真)を発行してくれます。今年は、私も頂きました。そして1年間、この証書に恥じないよう、セミナーでのネットワークや体験を生かしたいと思います。
セミナー期間中はヘトヘトになるのですが、終わってしまうとなぜか来年が楽しみになります。今年、一緒にセミナーに参加していただいたトモさん、本当に3日間ありがとうございました!来年は是非、日本から多くの若者をNYに送り込んでください。是非、お手伝いさせていただきたいと思います。
セミナーに参加した若者達は、300名以上はいたでしょうか。彼らのような若者がこの世にいる限り、セミナーのスローガン「2015年まで私達はきっと何かを変えることができる!」はずです。
2008年8月24日号
第5回 グローバル・ピース・フェスティバル USA
IN
ワシントンDC

8月9日(土)アメリカの首都、ワシントンDCで大きなゴスペル・イベントが行われました。通常ゴスペル・イベントは教会主催で「キリスト教」のイベントとなります。しかし、このDCでのイベントはちょっと違いました。「One Family Under God」(神様の元では皆家族です)と、ゴスペル音楽を通して「宗教」を超えた平和集会を持つ事が目的でした。ゴスペル音楽が、キリスト教の枠を超え、世界に広がっているという事実を目の前で確認できた・・・そんな気がしました。今回は、新しい形のゴスペル・イベントでの感動を皆さんにお伝えしたいと思います。
朝5時起床。息子が夏休みに入ってから、すっかり夜型になっていた私にとって久しぶりの朝の空気。息子を起こし支度をして、一緒に参加してくれたMAI(GOSPEL NOWのサポーター&ヴォーカリスト)と待ち合わせているグランドセントラル駅へ向かいました。集合場所に到着すると40人乗りのバスが2台用意されていましたが、それでも乗り切れないほどの人たち。DCまでは、マンハッタンから往復8時間〜10時間かかります。それにNYからの参加が決まったのは、ほんの1週間前。にも関わらず、こんなに人が集まったことに、まずはビックリです。NYにも、まだまだ良い人がたくさんいたのですね!
このバスに乗り込んだ人たちはイベントで募集した「Interfaith Choir」(写真左)のメンバーとして参加する人達。ハーレム・ツアーで有名なトミー富田さんのクワイヤーも参加されていましたよ(4年間ハーレムに住んでいるにも関わらず、このときトミーさんには初めてお会いできました。ご縁とは面白いですね)。楽曲は、テーマ曲である「Where Peace Begins」、「I Need You To Survive」(ヘゼカイヤ・ウォーカー)、「Celebrate」(Adruma Victoriaの楽曲に、アース・ウィンド&ファイヤーをコラボさせました)を1週間で覚え、午後1時からワシントンで行われるリハーサルにジョイントします。楽曲は、インターネットを通して告知されていただけなので、当日のリハーサルが初めて・・となるわけです。便利な世の中になりました!
ディレクターは、ワシントンDCにある「IMANI Temple」のDr. Wesley Boyd。偶然にも奥様が日本人ということで、ディレクターとも話が弾みます。数時間後に本番が控えるというプレッシャーの中、リハーサルに力が入ります。なんだか、ぴりぴりしていて、冗談もあまり言えない・・・そんな空気。息子も「あのディレクター、厳しくて楽しくないね」とネガティブ発言。バンドもどうも今初めて合わせたという感じ・・・クワイヤーも合わせるのが初めて・・・。皆、段取りは、わかっていませんし、歌詞もきちんと覚えていない様子です。ランチもそこそこにバンドのリハーサルが続きますが、そろそろ時間切れ。会場のホワイトハウス前広場へ向かわなくてはいけません。本当に、本番大丈夫なのかしら・・・?という不安がよぎっていたのは、ディレクターだけではないはず・・・。
地元のスクールバスがクワイヤーを迎えます。会場まで10分程度でしたが、窓から見るDCの風景はマンハッタンとは大違い。とてもキレイでゴミひとつ落ちていません。スクール・バスのドライバーも、とても感じがよく、これまたNYのドライバーと大違い・・・(苦笑)。会場に到着。写真やテレビでしか見たことのないホワイト・ハウスにまずは感動!想像以上に、美しい!元々、建築物が大好きな私は、しばらくぼんやりと建物を眺めていました。
出来立てほやほやだと思われるプログラムが配られ、クワイヤーは、やっと少し段取りがわかります・・。でも、どこで何を歌うかは、未だにさっぱりわかりません。「まあ、音楽が始まればわかるだろう」「ここまで来ちゃったんだから、やるしかないね」「まあ、何とかなるだろう・・・」という空気が、クワイヤーの中に流れます。皆に焦りの表情はありません。ディレクターを除いては・・・。「こいつら本当に大丈夫なんだろうか・・」と、心の中で思っていたはず。影で、お祈りしていたかもです(笑)。
イベントが始まり、どんどんと人が集まってきます。気がつけば1万人ぐらいは、いたのでしょうか?広場前は、黒山の人だかりです。TVカメラもマスコミも来ています。だいたい、目立つのが嫌いではないアメリカ人。当然、こうなればクワイヤーのテンションは上がります!もちろん、アメリカン・ナイズされている私のテンションも上がります。特に「I Need You To Servive」は、このイベントでは大いに目立てる場所・・・。空気を察知したクワイヤーメンバーは、それぞれが天を仰いだり、振りをつけたりで、すっかり感情移入しています。数時間前のちぐはぐだったリハーサルが嘘のように、心がひとつになります。これには、カメラもディレクター(こいつら本番に強いな〜と驚いたことでしょう・・・笑)も観客もビックリ!自然とクワイヤーの歌声は感動を呼び、歌い終わった後は、盛大な拍手と歓声が止まりませんでした。クワイヤーも満足顔!「来てよかった〜!」という空気がクワイヤー内を走ります。隣で歌っていたMAIを見るとボロボロ泣いているではありませんか!「あ〜!感動しちゃった〜!」と言いながら涙を拭いているMAIを見て、私も目頭が熱くなりました。

色々な宗教やNPOからのスピーチとパフォーマンスが続きます。グラミー賞アーティストのヨランダ・アダムス(日本に初来日が決定しています)やデイヴィッド・フェルプスの素晴らしいパフォーマンスもイベントを盛り上げます。特にヨランダ・アダムスの人気は絶大。ゴスペル界のディーバの登場とあれば、ホワイト・ハウス前は、もう観客を集める隙間無く、いっぱいです。
最後は、このイベントのテーマ曲「Where Peace Bigins」。終了時間が大幅に過ぎていた為、私達がNYに戻ったのは、夜中の2時ごろだったかと・・。もう、体はヘトヘトでした。でも、なぜか心は晴れ晴れとしていましたね。素晴らしい人たちとの新しい出会い(右写真は、インディアンの人たち)・・・。数時間前まで全く知らなかった人たちと歌い、平和な世の中を願った一日は、私に忘れられない感動を与えてくれました。きっとMAIにも、息子の剛至にも・・・そしてイベントに関わった全ての人たちにも・・・。
このグローバル・ピース・フェスティバルは、まだ世界中にどんどんと広がっています(次は、ケニアで開催されるようです)。キリスト教、仏教、ヒンズー教などのメジャー宗教だけでなく、新興宗教団体も参加しています。もしかしたら、その点でネガティブな発言をする人がいるかもしれません。・・・が、私はポジティブに考えています。インターネットという素晴らしいツールが広がり、世界は本当に小さくなっています。それぞれの国や団体や宗教のことばかりに目を向けていては、世の中を本当に平和にすることはできなくなっています。「世界平和」は「地球平和」へと変化しています。そういう意味では、国・宗教・人種を超えたグローバル・ピース・フェスティバルは、これからも多くの賛同者を得ることでしょう。(写真上:イベント終了後のMAIとのツーショット)
そして、私はその中にゴスペル音楽が関与できる事を誇りに思います。GOSPEL NOWでも是非、今後協力していきたいと思っています。「GOSPEL FOR ALL」(ゴスペル音楽は、みんなの為に!)が、私のこれからのスローガンです。「GOSPEL FOR ALL」のスローガンの下、これからもゴスペル音楽の輪を広げに行きたいと思います。
第1回 ハーレムのお気に入りスポット「クリオール」
第2回お薦めのB級グルメ「メキシカン・ファースト・フード」
第3回 黒人文化の歴史的スポット "コットン・クラブ”
第4回 大好評!NYのB級グルメ "チキン・オーバー・ライス & ピタ・ブレッド"
2008年8月17日号